【背割り・突板(つきいた)・込栓(こみせん)】もはや読めない!?専門すぎる用語解説その6

【背割り・突板(つきいた)・込栓(こみせん)】もはや読めない!?専門すぎる用語解説その6

木材家具を支える技術!「背割り」「突板」「込栓」の魅力をじっくり解説

木材家具の製作には、自然の素材を活かすための多くの技術が駆使されています。その中でも、あまり知られていないけれど非常に重要な「背割り」「突板」「込栓」という3つの技術に注目してみましょう。それぞれの技術や用語の背景、目的、そして家具製作においてどのような役割を果たしているのかを深掘りしながら、その奥深さをご紹介します。

1. 背割り

背割りとは?

背割りとは、木材の背面に切れ込みを入れる加工技術です。この切れ込みは木材が乾燥するときに発生する反りや割れを防ぐために行われます。特に大きな丸太や一枚板など、幅広い木材に対して施される技術です。木材が縮む際のストレスを切れ込み部分に逃がすことで、木材全体の形状を安定させるのが主な目的です。

背割りが必要な理由

木材は自然素材であり、伐採された後も「生きている」ように動きます。乾燥する過程で水分が抜け、内部の繊維が縮むことで木材の形状が変化します。このとき、反りや割れが発生することがあり、それを防ぐために背割りが施されます。

たとえば、一枚板のテーブルの場合、乾燥中に反りが生じると天板が波打ったり、亀裂が入ったりします。しかし、背割りが施されている場合、この力が背面の切れ込みに集中するため、表面には影響を与えません。この技術は、家具の見た目を保つだけでなく、木材全体の安定性を確保する役割も果たします。

背割りの加工方法

背割りを行う際には、以下のような手順が取られます:

  1. 切れ込みの位置を決定
    木材の中心線や裏側に沿って、切れ込みを入れる位置を決めます。これは、木材の厚みや幅、乾燥中の収縮率を考慮して決められます。
  2. 道具を使用して切れ込みを入れる
    手作業ではノコギリやチェーンソー、または木材専用のカッターが使用されます。現代では精密な機械を使って加工されることが一般的です。
  3. 深さの調整
    切れ込みの深さは、木材の強度や用途によって調整されます。深すぎると木材が割れてしまうことがあるため、慎重な計算が必要です。

背割りのメリット

背割りの最大の利点は、木材の形状を安定させる点にあります。特に一枚板や無垢材家具では、反りや割れのリスクを軽減することで、高品質な仕上がりを保証します。また、背割りは家具製作だけでなく、建築用の柱や梁などにも使用され、建材としての耐久性向上にも役立っています。


2. 突板(つきいた)

突板とは?

突板とは、木材を極薄にスライスした板状の素材のことです。この突板は、合板やMDF(中密度繊維板)の表面に貼り付けられ、無垢材のような美しい見た目を実現します。無垢材と比べて軽量で、木材を効率的に利用できるため、経済的かつ環境に優しい素材です。

突板の歴史と背景

突板の歴史は古く、木材を無駄なく使うための知恵として発展してきました。特に大量生産が求められる現代では、突板はコストパフォーマンスの高い素材として家具業界で広く使われています。高価な木材でも、突板として使うことで多くの製品に展開できる点が利点です。

突板の製作方法

突板は、以下のようなプロセスで製作されます:

  1. 原木の選定
    美しい木目を持つ高品質な木材を原材料として選びます。ウォールナットやオーク、マホガニーなどがよく使われます。
  2. スライス加工
    特殊な機械で木材を極薄にスライスします。この際、木目の方向を考慮し、美しい模様が最大限に活かされるように調整されます。
  3. 接着加工
    スライスされた突板を芯材となる合板やMDFに接着します。接着には高圧プレス機が使われ、均一で滑らかな仕上がりが求められます。

突板の特徴と用途

突板は、無垢材と同じ美しさを保ちながらも、軽量で加工がしやすいという特徴を持ちます。これにより、以下のような用途に広く使われています:

  • 家具
    キャビネット、テーブル、チェストなど、無垢材の代わりとして使用されます。
  • インテリアパネル
    壁や天井の装飾パネルとして、美しい木目を提供します。
  • 床材
    高級感を演出するフローリングにも利用されます。

突板のメリットと課題

突板はコスト削減や環境保護の観点で非常に優れていますが、耐久性は無垢材に比べて劣ることがあります。そのため、高湿度の環境や強い衝撃を受ける場面では注意が必要です。


3. 込栓(こみせん)

込栓とは?

込栓とは、木材同士を強固に結合するために使われる木製の釘や棒のことです。この技術は、金属釘を使用しない伝統的な接合方法として知られており、日本建築や高級家具に広く用いられています。込栓は強度を高めるだけでなく、装飾的な役割も果たします。

込栓の特徴

込栓は、木材同士をしっかりと固定するだけでなく、接合部の美しさを保つためにも重要です。また、木材自体で作られているため、温度や湿度による伸縮が一致し、結合部分が緩みにくいという利点があります。

込栓の用途

込栓は、次のような場面で使用されます:

  • 家具製作
    高級テーブルや椅子、キャビネットなどで接合部を強化するために使用されます。
  • 建築構造
    日本建築の柱や梁の接合部で、耐震性を高めるために用いられます。
  • 装飾要素
    込栓を意図的に目立たせ、デザインのアクセントとすることもあります。

込栓の製作と使用方法

込栓を使用する際には、まず接合部に穴を開け、そこに込栓を挿入して固定します。この際、以下のような工程が行われます:

  1. 穴あけ
    接合部分に適切な直径と深さの穴を開けます。
  2. 込栓の挿入
    木製の釘を押し込み、接着剤を使用して固定する場合もあります。
  3. 仕上げ
    飛び出た部分を切断し、表面を滑らかに整えます。

込栓のデザイン性

込栓は、単なる接合手段ではなく、家具や建築のデザイン要素としても活用されます。たとえば、異なる色の木材を込栓として使用し、コントラストを生むことで、視覚的な魅力を高めることができます。


まとめ

「背割り」「突板」「込栓」という3つの用語は、木材加工や家具製作の基礎を支える重要な要素です。

  • 背割りは、木材の反りや割れを防ぎ、耐久性と形状安定性を確保する技術。
  • 突板は、美しい木目を再現しつつ、軽量でコストパフォーマンスの高い素材。
  • 込栓は、木材同士を強固に結合し、デザイン性を高める伝統的な接合技術。

これらの技術を知ることで、木材家具の奥深い魅力にさらに触れることができます。次に木材家具を手に取るときには、ぜひこれらの技術にも注目してみてください!

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